山形県高畠町は山形県東南エリアにあり、町境は宮城県七ヶ宿町や福島県福島市と隣接する町です。
西側は置賜盆地、東側は山麓地域に分かれ、気候は夏は盆地特有の暑さ・冬は雪が積もる寒さが特徴。
果物生産が盛んで別名を「果物王国」と言っても良いほどの生産を誇り、日本では珍しいラフランスや、ぶどう・リンゴやさくらんぼの栽培が盛んです。
また、縄文時代の洞窟群や古墳も多く、考古学的にも貴重な出土品が見つかっています。

今回は、そんな古代香る高畠町の観光スポットをたくさんご紹介します。
文化的遺産を巡る
有形文化財に指定された、電車が残る「旧高畠駅舎」



高畠町にある旧高畠駅舎は、昭和49年に路線が廃止になり、その後はバス路線の駅として町民に長い間愛されてきたスポットです。
戦前までは、宮城県七ヶ宿の湯原鉱山や同町二井宿の金原鉱山の鉱石の運搬、現在はなくなってしまった屋代地区にある長谷川製糸工場の製糸や農産物を運んでいたといいます。
現在は施錠され中に入る事はできませんが、風雨を凌ぎずっとこの場で町民の足となる場所に建ってきました。
外観を見ていただくとわかると思いますが、この駅舎は日本では珍しく石で作られています。


この石は、高畠町で切り出された高畠石という黄色が強い凝灰岩。古代は古墳の石室として使用されていた石です。
平成28年には文化庁から登録有形文化財として登録され、大切に管理されています。


ずっと使用されていない為、外から見る限りでは雑然としていますが、木枠で作られた窓もきちんと役割をこなしています。
なんだか、今にも改札の駅員さんから声をかけられそうな、そんな雰囲気です。



旧高畠駅舎の隣には、まだ路線として使われていた頃の車両と線路の一部がそのまま保存されています。
こちらも中に入ることはできませんが、すぐ近くで見ることができます。
運転室は少し風化していますが、外観の塗装は定期的に行われているようで綺麗です。



ローカル線だとボックス型の座席が多いですが、この頃の車両の座席は窓側一列に並んでいたんですね。




こんなふうに近くで車両を見る機会は少ないので、ジッと見入ってしまいます。特に連結部分と下の機械部分、どんなふうに動いていたのか興味あります。

確かに、博物館などで展示されている車両とは違い、この近くで見ることのできる車両は貴重だよね。でも危ないから下に潜ったりはダメだよ。



こちらも旧高畠駅舎の敷地内にある、高畠石を使った施設です。
左上は地下に掘られていますが、何に使用されていたのでしょう?
右上の写真は何かの倉庫のようですが、板が貼り付けられていて中を見ることは出来ません。



敷地内には小さな公園があり、可愛らしい遊具があります。
公園内は小砂利が敷き詰められていて、転んでも大きな怪我になりにくいようになっていました。
滑り台も低く設定されているので、未就学の小さなお子さんにも安心です。
見上げる石壁「瓜割石庭公園」



こちらは現在創業してはいませんが、以前は高畠町の名産品として活躍していた高畠石の石切場跡地です。
前出した旧高畠駅舎で使われていた石も、この石切場から切り出された高畠石です。
まだ創業していた頃の名残を残し、現在はレンタルスペースとして町民や町外の人たちに活用されています。
詳しくは同サイトの別ページにてご紹介しています

この規模の石を昔は手作業で掘り出していたのかと思うと、もう凄いの一言です。切り出してからは運搬も必要なので、本当に大変だったのではないでしょうか。
安久津八幡神社の「三重塔」




安久津八幡神社とは、本殿のと参道の途中にある舞楽殿・三重塔の三つを指します。
建立は西暦860年と言われていますが、定かではありません。
現在の三重塔は再建されたもので、初めに建てられたのは1625年。
置賜地域ではただ一つの複層塔です。
敷地内には高畠町の郷土資料館があり、開館時間は9:30〜16:30。
入館料は大人100円・子供50円、休館日は月によって異なる為、公式HP(高畠町公式HPへ)をご確認ください。

この「じじばば石」というのは、昔お年良英夫婦が一晩で鳥居を立てて見せると言い、結局建てることは叶わず、そのまま安置することになったという言い伝えがあるそうです。

安久津八幡神社の隣には歴史公園があり、春は桜や菜の花・夏は向日葵・秋は秋桜が植えられていています。季節の花と三重塔の景観は美しく、是非それぞれの季節に訪れてくださいね。
圧巻の景観「高畠洞窟群」



高畠町は縄文時代に作られた洞窟が点在する地域でもあります。
どの洞窟も圧巻で、みる価値がありです。
主に町の西側である蛭沢湖や時沢周辺ですが、どの洞窟も山の中にあるので熊や猿など出没するエリア。ですので、なるべく複数人で行くことをおすすめします。
詳しくは同サイトの別ページにてご紹介しています(高畠洞窟群のページへ)
日本三代文殊の「亀岡文殊」



高畠町にある亀岡文殊は、日本の三代文殊の一つとして数えられ、受験シーズンになると参拝客が絶えない神社です。
歴史は古く、西暦807年にこの地に建立されたと伝えられています。
参道の脇に立つ真っ直ぐな杉林が美しく、御堂までの石畳は風情あり。
毎年1月下旬には、古くから神社で行われてきた「亀岡文殊星祭り」が執り行われます。
詳しくは同サイトの別ページにでご紹介しています

境内には伊達政宗が奉納した鐘や、直江兼続が詠んだ詩歌が保管されているそうです。武将とも繋がりのある亀岡文殊は、昔からご利益がある神社として大切にされてきたんですね。
美味しいものを探訪する
高畠の風と土が育んだ「高畠ワイナリー」


山形県は、ワインに使用されるデラウェア種の葡萄出荷量が日本で一番多い県です。
「日照時間が長く、日中の寒暖差が激しいこと」また、「水捌けがよく雨があまり降らないこと」これが良い葡萄を作ることの条件だと言います。
その条件に合った、この町で作られた高畠ワイナリーのワインがイギリスで行われている世界的にも知名度のある「インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション(IWSC)」のワイン部門で2021年に金賞を受賞しました。




そのIWSCで受賞した赤ワインが、高畠ワイナリーで少量ですが一杯300円で試飲することが出来ます。
受賞したワインの他にも、たくさんの美味しいワインやドリンクが並び、どれを選んで良いか迷ってしまう程です。

外の売店には、シャインマスカットのソフトクリームや、赤ワインのソルベが販売されています。イートスペースは屋根付きなので、葡萄を見ながらゆっくり飲食できますよ。


絶品ブルーベリータルト「大阪屋」


こちらはブルーベリーチーズタルトで有名な大坂屋です。
チーズたっぷりのクリームにちょっと硬めのタルト生地、そしてその上には主役であるブルーベリーソースがたっぷりと乗っています。
しっとりと濃厚な味わいのケーキは、店内の喫茶スペースでも味わうことが出来ます。

チーズタルトにチーズが入ったクリーム、チーズ好きにはたまりません。
営業時間:9:00〜19:00(日祭日のみ18:00まで)
定休日:無休
必食、もちもちジャンボ餃子「斎院肉屋」

高畠町の斎院肉屋は知る人ぞ知る、手作り餃子の有名店です。
お肉屋さんで作っているので具が美味しいのはもちろんの事、この皮がもっちりと厚く焼いた時の食べ応えはたまりません。
多分、この皮が主食の代わりをするほどのボリュームなので、今日主食のご飯いらないのでは位の勢いです。

とにかく一度食べてみることをおすすめします、一度でファンになりますよ。
(斎院肉屋の餃子はテイクアウト専用です)
※現在店舗改装中のため、別の場所で営業中です。仮店舗はこちらから車で1分もかからない場所にあります。新店舗が出来上がるのは令和3年の12月中旬予定との事でした。



営業時間:8:30〜19:00
定休日:日曜日
昔懐かしい和菓子「おばこや」



昔懐かしいおばこ焼き(大判焼きの事)を販売するお店です。
季節によって販売商品は変わり、春には団子・夏は粟餅やかき氷、おばこ焼きは冬の人気商品。
小さなお店ですが、昔から町民に愛されお得意様も多いお店です。
あんびん(大福)は通年販売していますが、売り切れてしまうこともあるのでご注意ください。

私は春に販売されている団子が好きです。じんだん(枝豆)や餡子・しょうゆのカラフルな色が食欲をそそるのです。
営業時間:9:00〜売り切れまで
定休日:不定休
高畠町の食材×イタリアン「an.(アンドット)」




高畠町の食材×イタリアンのお店「an.(アンドット)」は、手をかけられた美味しい料理を食べることができるお店です。
地産の野菜を使い、彩り豊かに盛り付けられた一皿は食べても美味しい一品の仕上がり。
料理に合わせてt買われているお皿やカトラリーも凝っていて、レストラン内は素敵な空間になっています。

昔懐かし濃いめのミートソース「高砂屋」




高砂屋珈琲店は、喫茶スペースの他にも店舗内に菓子屋があり、和菓子屋洋菓子を購入することも出来ます。
昔懐かしいレトロな店内は、昭和時代の往年スターのポスターが貼られています。
味が濃いめのナポリタンは、ベーコンと玉ねぎが入っていて期待を裏切らない味付けです。

高砂屋珈琲店は昭和ミニ劇場を併設、店内にはスクリーンがあり時々映画が上映されていたりします。
高畠町ご当地パンの「太陽パン」



地元の人は皆一度は食べたことのある味、ご当地パンの「ベタチョコ」を販売している太陽パンの直売所。
この「ベタチョコパン」は、昭和39年の東京オリンピックが開催された頃から愛されてきた味です。種類が豊富で、ノーマルのチョコ味からバナナ・きな粉・チョコミント味など、ラインナップは12種類に上ります(全ての種類が同時に販売されているわけではないのでご注意を)。
遠方から買いに来る方もたくさんいるので、午後になると品数が少なくなってしまいます。ですので、なるべく午前中のうちの来店をおすすめします。
営業時間:9:00〜売り切れまで
※6月〜9月までは8:00開店
定休日:月・火・木・金曜日
体力必須、サイクリングロード全制覇で巡る
サイクリングロード

高畠町には「まほろばの緑道」というサイクリングロードが整備されており、詳細は次の通りです。
全長:23.1km
始点:JR高畠駅
終点:蛭沢湖
所々に小さな公園や道の駅、観光スポットなどが点在し、飽きることなく走破できるコースとなっています。

高畠町が、昔線路だった所を町内外の方達が利用できる用に整備しました。

もちろん、歩行者と自転車しか通ることが出来なくなっているので、小さなお子さんも安心して利用できます。

このサイクリングコースは、町内を一周して始点に戻ってくるというタイプではなく、始点と終点が違う場所なので、体力に合わせてコースの選定(途中で戻る等)が必要だと思います。
レンタサイクル




レンタサイクルは、高畠町の
- JR高畠駅(0238-57-4177)
- 道の駅高畠(0238-52-5433)
の2ヶ所で借りることが出来ます。
期間:降雪時はお休み
料金:基本料金500円(3時間)
※延長は追加で300円
利用時間:9:00〜17:00
※返却は17:00まで
自転車のタイプ:大人用、子供用

問い合わせをした所、レンタサイクルは当日でも貸し出し可能との事でしたが、台数が限られているので予約した方が確実です。

道の駅高畠のレンタサイクルは、総台数が5台という事でした。
レンタサイクルはサイクリングコースのみではなく、町内の観光目的としても利用可能です。
高畠町の町内には「昭和縁結び通り」という通りがあり、レトロなお店や面白い観光スポットもありますので、是非そちらのコースもおすすめです。
高畠町観光のまとめ
今回、高畠町の観光スポットを取材してみて、自然豊かな環境の中にたくさんの観光スポットが眠っていると感じました。
文化的施設も多い高畠町ですが、その他にも町外から訪れる観光客を楽しませようという意気込みすら感じます。
街ぐるみでのイベントも多く、各観光スポットにQRコードを配置した「スマホスタンプラリー(令和3年7月1日〜11月15日まで)」や、高畠町の観光スポットを歩いて巡る「ファンファンウォーク(終了)」など。
面白そうなイベントが開催されています。
また、高畠町にある大人の学校「熱中症学校(公式HPはこちら)」とコラボし、企画制作した映像、「尖った町No1が決まる!! 全日本渡来人観光連合が認定したその町の名は 高畠!!(YouTubeへ)」が面白すぎます。
そして高畠町には「まほろばの里案内人」という観光案内のシステムがあり、団体や個人の方向けに高畠町の案内を行っています。

案内人の料金は1時間2,000円となっていて、それ以上は3,000円です。
案内時間は9:00〜17:00、5日前までの申し込みが必要。
申込先は高畠町観光協会(0238-57-3844)まで。
是非、高畠町で体験型観光をお楽しみください。
その事からも、古来よりこの土地に人々が暮らしてきたと考えられています。