羽州街道の宿場町として江戸時代に栄えた楢下宿
楢下宿は江戸時代頃に、羽州街道の宿場町として栄えた地です。
平成7年(1995年)に歴史国道、翌年の平成8年(1996年)に歴史の道百選(文化庁より歴史的に貴重な道として選定)に選ばれました。
山田屋
まずは眼鏡橋手前にある山田屋から見学していきます!
土間を入ると上山の奇祭「加勢鳥(かせどり)」で着用する被り物が展示されています。
天井が高く、建物の中を風が通り抜けて気持ちがいいね。昔の建物って凄い!
建物の一番奥にある蔵は図書スペースになっており、休憩もできるスペースになっていました。
外から見るとこんな感じ↓
2階に上がってみると小さな部屋が2つあり、障子窓からは下の囲炉裏が見えます。
こういう吹き抜けのような作りって昔からあったんですね。
寒い冬はこの障子窓を開放することで、囲炉裏の暖気を2階まで取り入れることが出来たのでは無いでしょうか。
2階から眺める眼鏡橋、遠くの山まで見渡すことが出来気持ちが良いです。
この眼鏡橋は凝灰岩で出来ており、明治時代に作れました。
その時代では珍しい西洋の土木技術を取り入れた建造物で、当時は橋銭を徴収し建造費用の返済に充てられたのだとか。
外から見る建物も見事。大きな屋根で重量も相当なものでしょうが、作りがしっかりしているのでしょうね。軒天も大きく張り出しています。
駐車場は建物の奥にあります、入り口が狭いので気をつけて進んでくださいね。
大黒屋
次は、楢下宿下町にある大黒屋です。
ここでは定期的に「古民家カフェ」が開催され、楢下宿カレーやケーキ&コーヒーセットを楽しむことが出来るそうです。
2021年5月〜11月(第3日曜日、6月を除く)
5/16、7/18、8/15、9/19、10/17、11/21
時間:11:00〜14:00
場所:楢下宿 大黒屋
※リヤカー市も同時開催される事もあるそうです
問い合わせ先:(一社)上山市観光物産協会
電話:023-672-0839
このように建物の梁が見える造りの理由は、要職につく偉い人が来た時に忍者などが隠れる場所がないようにという理由なんだそうです!!
えーーー、それは凄い!そんな理由があったとは。その時代の歴史を感じるエピソードだね。
建物内から道路を眺めていると、ここが宿場町として機能していた頃を感じることが出来ます。
外の街道を江戸から東北に向かう人たちが、歩いていたのでしょうね。
庄内屋
次は庄内屋です。ここは準本陣級の格式があり、楢下宿に残っている古民家の中では一番古い建物なんだそうです。
さすが格式のある建物だけあって、和室の連間がありますね。
この障子窓、開閉は横に動くのではなく上下に稼働します。
作りが独特で、細やかな所に古民家の作りを感じることが出来ますね。
庄内屋の建物では、屋根の葺き替え作業が行われていました。
なんと作業されているのは女性の職人さんお一人!!
全部の作業を全て一人でやられるそうです、カッコいい!!!
一人での作業はお盆を挟むので一ヶ月以上かかるそう、この炎天下での作業に本当に頭が下がります。
この茅屋根に使用する茅は休耕田などで自生したものを、楢下宿の方達が準備しているそうです。
旧武田家
そろそろ後半です、最後から2番目は旧武田家。
旧武田家は、昔の記録に「旅籠屋」であったことが記されている建物。
建物入り口を入るとすぐ小さな和室が二つ並びます。
奥には囲炉裏がある部屋と台所・厩(うまや)があります。
ここで旅の人が、食事をし食寛いでいたのでしょうね。
奥に続く土間の廊下には、昔農作業に使っていた道具が展示されています。
どの建物にも厩(うまや)があり、農耕馬として飼われていたのでしょう。
それとも、旅に連れてこられた馬をここで泊めていたのかも。
庄内屋でもそうでしたが、楢下宿にある建物の多くの障子窓がこのように上下に開閉する作りになっています。
その理由の一つは、敵が攻めて来た時に横に開閉する扉ではすぐに破られてしまうからなのだそうです。
滝沢屋
それでは最後の建物、滝沢屋です。
こちらの建物のみ建物内の観覧は有料となります。
大人:220円
学生:160円
子供:50円
団体大人:170円
団体学生:110円
団体子供:40円
開館時間:9:00〜16:45
休館日:水曜日、12/28〜/1/3
※入館時は、楢下宿の歴史や建物の説明にガイドさんが同行してくれます。
楢下宿内でも一番大きな建物で、昔は大名や上級武士が休息や宿泊施設として利用していた由緒ある古民家なのだそうです。
保存状態も良く、平成7年には山形県の有形文化財に指定されました。
まず目にするのは、建物外部にあるこの梁。
この屋根の支えに使用している梁は一本の木で作られており、このような大きなものはあまり他の建物では、見ることが出来ないそうです。
建物の一部のみ許可を得て撮影することが出来ました(入館が有料の為、内部の写真も撮影不可となっています)。
建物正面のこの入り口は人の出入り用ですが、設計ではわざと低く作られています。
その理由は、敵が攻めてきた時に身につけている兜の先が引っ掛かって、すぐ入ってこられないようになっているのだそうです。
こちらは馬用の出入り口。上級武士などは馬に乗ったまま、この入り口から出入りしたとか!
また、建物内部の囲炉裏には燃えにくい柿の木を、床には腐らない杉の木が使われているそうです。
このように、入館時に同行してくださるガイドさんより、まだこの地が栄えていた宿場町頃の詳しいお話をたくさん聞かせていただきました。
当時の楢下宿には花魁もいたのだそう、本当に相当大きな宿場町だったのでしょう。
現在残っている建物は少ないですが、話を聞くと昔は今とは比べ物にならない程たくさんあったのだそうです。
※管理されている方に許可をいただき、資料を撮影させていただきました。
楢下宿の場所と詳細情報
場所:山形県上山市楢下乗馬場1759-1
休館日:毎週水曜日、12/28〜1/3
開館時間:9:00〜16:45
問合せ先:脇本陣滝沢屋(023-674-3125)
上山市教育委員会生涯学習課(023-672-1111)
※場所(住所)と地図は代表して、滝沢屋のものを記載しています
楢下宿を見学してみてのまとめ
近くに住んでいたのに、今まで見学した事がなかった事を後悔するぐらい見応えのあるものでした。
これだけ歴史的に貴重な建物を、無料で公開している所ってあまり無いよね。
歴史的建物を利用した「古民家カフェ」も気になります。
山形県上山市のある楢下宿は、本当に大きな宿場町だったとの事。
関東の方から旅をしてきた人たちが、出羽国に入り初めての宿場町がこの楢下宿であり、藩政時代には参勤交代の宿場町として栄えていたのだそうです。
歴史的価値のある、この楢下宿一帯は平成9年に「史跡 羽州街道楢下宿・金山越」として国の史跡に指定されています。
この迫力は直に見ていただくとわかると思います。
是非、一度見学に足を運んでみてくださいね。
※コロナウィルス感染症対策のため、閉館していることも考えられますので確認後の来館をおすすめします。
〜読んでいただく前のお知らせ〜
全ての建物は毎週水曜日がお休みです。
※私はたまたま水曜日に行ってしまい、一度引き返しました(汗)。